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左:コンサート前のプレ・トーク(バーミンガム)/右:歓迎会のひとコマ。ネザーランド・フィルのメンバーによるビッグバンド(アムステルダム)

 

励まされ(客席数2900)、集中力のある演奏となりました。ホールの響きの少なさにとまどいながらも初日としては充分な出来。ロンドンの聴衆の肥えた耳にも満足が得られたのではとおもいます。「とても温かい、すばらしい演奏。ロンドンに来てはじめてホームシックになりました。(N新聞欧州編集総局記者談)」。スタンデディング・オーヴェイションもちらほらと。「三角帽子」(メイン曲)の拍手が1番熱く、1985年と1991年の第1、2回欧州公演と違って、「海外での演奏」という気負いを乗り越えた“気持ちの余裕”も見られたようです。
また会場には、日本フィル客演指揮者のジェームス・ロッホラン夫妻がいらっしゃいました。(編集部)
いよいよ開演。客席はやっぱり正装したレディース・アンド・ジェントルメンが目立つ。東洋系もかなりの比率。実は私、1曲の「鳥たちの時代」(吉松隆)がどう受け止められるかが、最も興味のあるところ。この曲は、鳥や森を通して”自然”がすごくストレートに伝わってくる曲だけど、作曲者も演奏者も日本人、というこの「鳥たち…」を、ロンドンの人達はどう感じるか。あ、ウケてる、よかった一。やっぱり伝わるんだ!(山田千秋/ヴァイオリン)
前日のヘンリーウッドハウスでの練習の際、久々に楽器を手にした楽員の皆さんが、いきいきと、楽しそうに演奏していたのが非常に印象的…やはり、オーケストラプーレイヤーは演奏しているときが最も輝いているのだと、つくづく思いました。
(賀澤美和/事務局)
【4月26日/バーミンガム】
バーミンガム市響&サイモン・ラトルの牙城、シンフォ二一ホールは、アトリウム風の近代的な内装、たくさんのビストロやカフェ、そしてサントリーホールに似たすばらしい音響のコンサートホールを持つ複合施設でした。響きは、正面、横、後ろのどこから聴いても抜群に良く、坂本朱さんの艶のあるメゾソフラノの声もホール中に通り、皆が「大変演奏しやすかった」と納得する内容でした。客席は8割方の入りで、しかもほとんどが地元の人々。聴衆の反応もロンドンとは、随分違うようです。(編集部)

 

本日の宿はハイアット・リージェンシー・バーミンガム。なんと会場とはBフロアの渡り廊下でつながっている。この便利の良さは、おそらく他の外国のオーケストラがこの地を訪れる時もこの宿を使っているのではないだろうか。
ホールの前には広場があり、数件のレストランカフェ・バーが並ぶ広場中央には噴水、手前には、この近代的なを象徴するようなイメージを持つモニュメントが建っている。また、ホール裏手には運河があり遊覧船らしき小舟が3隻連なっている。夕暮れになるとネオンが運河を灯し、市民の憩いの場としては最高のシュチュエーションができあがる。
ロンドンほど歴史を感じさせない趣のあるバーミンガムの街の街並みは、長く変わらないものを尊ぶ気持ちと共に、新しいものを積極的に受け入れようとする気風を強く持ち合わせている予に思える。その市民の気持ちが、バーミンガム市響を発展させ、新しいホールを建設し、街を作り、そこをひとつの憩いの場として街全体を活性化させようとしているのではないだろうか。市民の中にに音楽が根付いたひとつの成功例として、考えさせられる街であった。(福島喜裕/打楽器)
【4月28日/アムステルダム】

 

 

 

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